ミトラ教とシュメール文化とエトルリア文化:日の神キリストの西洋父

ミトラ教とシュメール文化とエトルリア文化:日の神キリストの西洋父権化とPS理論的マニ教的日の神


テーマ:manichaeism: 哲学


ミトラの密儀/フランツ・ヴァレリ・マリ キュモン
¥3,262
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ミトラ教の古典的名著と翻訳者が呼ぶ本書を拾い読みしているが、ミトラ教についてよく知らなかったので、新鮮な、実に興味深い内容である。
 想起したのは、シュメール美術の円筒印章に描かれた牡牛とライオン鳥の図像である。前者を後者が食べるのであるが、前者は微笑んでいる。これは、明らかに、女神文化である。どうも、ミトラ教はシュメール女神文化と関係すると推測される。
 次に思ったのは、イタリアの先住民のエトルリア文化である。D. H. ロレンスが『エトルリアの地』で、エトルリアの墓地の壁画を分析しているが、そこに宇宙・自然的な陰陽的均衡文化を認めているのである。どうも、直観では、それにはミトラ教が影響していると思われるのである。
 そうすると、シュメール⇒イラン・インド⇒エトルリア⇒西方ミトラ教という図式が見えてくる。
 そして、ローマ帝国において、キリスト教と「覇権」を争ったのであるが、敗れたのである。結局、宇宙母権的要素が否定されて、父権的なキリスト教が勝利したことになる。言い換えると、東洋的要素が否定されて、西洋的父権的キリスト教の覇権が明確になったことである。
 私見では、キリストは母権的なのであるが、「父」がヤハウェなので、母権的要素が抑圧されたキリストの宗教が生まれたことになる。母権的キリストならば、第三象限になるが、父権的キリストだと第二象限に属すると考えられる。
 結局、ミトラ教キリスト教に敗北したということは、東洋母権的宗教(霊的日輪宗教、大女神宗教)が西洋父権的宗教に取り込まれるように敗北しことを意味する。つまり、キリスト教は東洋的な日の神であるキリストを取り込んでいるのである。父主母従、西主東従になっているのである。
 ここで少しマニ教について触れると、それは、光の神としてのキリストを説いていると考えられる。つまり、ミトラ教の母権的キリストを発展的に継続する形でマニ教が生起したように思われる。しかし、マニ教キリスト教、その他に滅ぼされたのである。
 その後、西欧において近代合理主義という唯物論が発達するが、そのとき、ルドルフ・シュタイナーマニ教的霊学、D. H. ロレンスの独特なやや反動性をもった東洋的母権的身体的霊学が生まれたのである。
 結局、東洋母権宇宙的霊的日輪グノーシスを創造する衝動が現代世界にあると考えられる。
 そして、PS理論の創造がある。これは、明らかに、この人類史的精神の流れの帰結と考えられる。これは大マニ教、超マニ教と言うべき理論、グノーシスである。日の国で、日輪教の国でこれが生まれたのはある意味で必然である。東洋と西洋の合流点である日の国でこそ生まれるべくして生まれた理論である。
 今はここで留める。