個と特異性11:不連続的差異論と特異性

「個と特異性9」で、個・特異性はイデア界全体を指向すると述べたが、その前の論述の内容とずれていたので、ここで整理する。
 私が最初に絶対的普遍であると述べた不連続的差異である特異性であるが、それはイデア界の個々の差異のことである。図式化すれば、

絶対普遍的特異性1/絶対普遍的特異性2/・・・/絶対普遍的特異性n

となる。しかし、個・特異性は、不連続的強度からイデア界全体を指向するから、個・特異性とは絶対普遍的であると、その後述べたのである。ここで、齟齬を解消し、明快・明晰にしないといけない。個・特異性とは、現象界の個における特異性である。そして、上記の図式の絶対普遍的特異性とは、個・特異性ではなくて、イデア界的差異の特異性である。だから、差異・特異性と言ってもいい。しかし、差異という用語は混乱を生みやすい。本来はイデア界の不連続的差異のことであるが、理論的必然性から、現象界の個・特異性をも指すのである。だから、明快にするには、イデア的差異と現象的差異とを区別する必要がある。整理すると、イデア界の特異性とは、イデア的差異・特異性である。そして、個・特異性とは現象的差異・特異性である。
 私が直感したのは、現象的差異・特異性は絶対普遍性であり、また、イデア的差異・特異性も絶対普遍性であるということである。これまでの検討から、現象的差異・特異性とは、イデア界全体を指向する強度である。だから、現象的差異・特異性とは、イデア的差異・特異性の全体を指向するということである。イデア的差異・特異性が絶対普遍性ならば、イデア界全体はなおさら絶対普遍性である。超絶対普遍性である。ここで整理すると、現象的差異・特異性が絶対普遍性であるというのは、それがイデア界を指向するからである。極論すれば、現象的差異・特異性即イデア界全体である。図式化すれば、

現象的差異・特異性=イデア的差異・特異性1/イデア的差異・特異性2/・・・/イデア的差異・特異性n

である。だから、「私」という現象的差異・特異性は、イデア界から見たら、一種集合的特異性である。正確にいえば、差異連結的特異性である。ということで、全体をまとめると、現象的差異・特異性である「私」が絶対普遍的である、ないし絶対普遍性を指向するのは、「私」という現象的差異・特異性には、イデア的差異・特異性=不連続的差異=絶対普遍性の全体であるイデア界の超絶対普遍性が作用しているからである。不連続的差異論の特異性論である。そして、これは、哲学、宗教、神秘学、科学、芸術等々の問題をすべて解明・解決するだろう。不連続的差異論が創造されて、しばらく、私は、この理論を最勝超至高と呼んだ。