ゆとり教育の崩壊:役人の極悪的無責任さ:あらたな「天皇」=差異へ

官僚の無責任さ。つまり、反省、内観、コギトのない人間が、役人になっているからこうなるのだろう。プラトンは、哲人の政治を考えたが、政治屋や役人屋の体制は、国を破壊する。魂のない人間の支配である。そう、大審問官の支配、ビッグブラザーの支配。牧羊者の仮面をつけた狼たち。かれらも、実は、不自由なのである。不自由人が不自由人を支配するのである。では、真の支配者が誰か。日本の場合に限定しよう。それは、アメリカである。アメリカ政府が支配者である。日本宗教が、日本の強度が、アメリカに奪い取られたのだ。日本の魂が奪い取られたのだ。三島由紀夫は、ある意味で正鵠を射ていたのだ。「天皇」の問題である。これへの正答は、折口信夫が提起していると思う。あたらしい「天皇」を創造しないといけないのだ。それは、差異としての「天皇」であろう。この問題は後で、詳しく検証したい。

「学力底上げ『脱ゆとり』 中学教科書検定

 文部科学省は五日、二〇〇六年度から使われる中学校用教科書の検定結果を発表した。学習指導要領の範囲を超える内容を「発展的な学習内容」として載せることを中学用で初めて認めたため、四年前の前回検定で削られ、教員らから批判が出ていた理科の「イオン」や「進化」、数学の「二次方程式の解の公式」がすべての教科書で復活した。 

 社会科では扶桑社の教科書が前回に続き合格。領有権をめぐって日韓が争っている日本海竹島をめぐり「韓国が不法占拠している」との記述もあり、韓国側から早速、反発の声が上がった。

 検定合格したのは、九教科百三点。国際学力調査の結果などから学力低下批判が渦巻く中、理科と数学の平均ページ数は各二割以上、英語と国語も8−6%増えた。

 高校用、小学用に続いて、中学用では初めて認められた「発展的な学習内容」の全体に占める割合は、全教科平均で2・7%、最高は理科の7・0%だった。

 「ゆとり教育」で学習内容を厳選した新指導要領を厳格に運用した前回検定では、「指導要領に照らして不必要」などと記述を削除するよう求めた意見が理科で三百、数学で四十六付いたが、「発展」が認められた今回は理科で六つ、数学はゼロだった。

 社会ではこうした意見はなく、逆に「指導要領内」として「発展」とのタイトルを認めない意見が百四十九に及んだ。その結果、歴史では一つも「発展」が認められないなど、「発展」の線引きが不明確だった舞台裏をうかがわせた。理科の「発展」では、「元素の周期表」と「遺伝の規則性」も五社すべてで復活した。

 検定意見書や教科書の見本は、四月二十五日から七月二十九日まで、東京都江東区の教科書研究センターなど全国八カ所で展示、公開される。今夏までに各地で新しい教科書が決まる。

竹島で記述修正『韓国が不法占拠』

 前回、侵略を正当化しているとして中国、韓国の反発を招いた「新しい歴史教科書をつくる会」主導の扶桑社の歴史教科書は、今回も最多となる百二十四カ所の意見が付いたが、すべて修正して合格した。

 同社の公民教科書では、申請段階で口絵にある竹島のグラビア写真につけられていた「韓国とわが国で領有権をめぐって対立している竹島」との記述に「領有権について誤解するおそれ」とする検定意見が付いた。

 同社は、文科省の意見を受け入れて「わが国固有の領土であるが(中略)韓国が不法占拠している竹島」と修正した。「不法占拠」という表現は、昨年改められた外務省のホームページ(HP)にある政府見解と同様で、扶桑社はこれを参考にしたとしている。同省は「わが国と韓国が対等に記述され、領有権がどこにあるか分からないため意見を付した」と説明している。北方領土尖閣諸島についても各社の記述に同様の意見が付き、いずれも「わが国固有の領土」などとする形で修正された。

■中国『憤り』韓国は『憂慮』

 日本政府の中学校教科書の検定結果に対し、中国、韓国の両政府は五日、相次いで「憤り」や「憂慮」を表明した。日中間の東シナ海のガス田問題や、日韓間の竹島(韓国名・独島)の領有権問題などで悪化している、日本と両国の関係にも影響を及ぼしそうだ。

 中国外務省の喬宗淮次官は同日夕、阿南惟茂・中国大使を同省に呼び、検定教科書に「侵略を否定し、美化する右翼の歴史教科書が含まれている」と強く抗議した。阿南大使は、言論の自由が認められる日本では、検定教科書は一定の基準を満たしている、と応じたという。

 韓国外交通商省は、複数の教科書が「独島の領有権を主張していることに深刻な憂慮を表明する」との声明を出した。ただ、その一方で、歴史教科書については「努力した跡がある」と評価した。ソウルの日本大使館前では、市民団体が抗議のデモを展開した。

■習熟度別授業を強く意識

<解説>

 今回、検定合格した新しい教科書は、「発展的な学習内容」以外の記述でも「できる子」向けの難しい問題を入れるなど、これまでになく習熟度別授業を意識した作りとなった。「すべての子が学ぶ内容ではない」という「発展」の位置付けは、文部科学省が進める「個に応じた指導」の趣旨とも合致する。

 低下したとされる学力の底上げには、どの教科書もきめ細かく配慮している。しかし、「発展」への力の入れ方は各社それぞれで、三年の数学では、多い教科書と少ない教科書で七倍以上のページ数の開きが出た。

 「発展」を多くの生徒の目に触れるようにと、本文に近いところに載せるか、「できる子」以外の生徒の負担にならないように巻末にまとめるかによっても、各社の姿勢の違いがうかがえる。

 全体に占める割合が、最大でも一割という「発展」にみられる教科書ごとの違いを、同省は「大きな問題ではない」(教育課程課)とする。だが、今夏に自治体が教科書を採択する際には、「発展」をどう扱った教科書を選ぶかに、教育方針が反映されるだろう。

 京都市は本年度から、全市立小学校で「発展」の一部を必修化する。自治体によって、公立学校の子どもの学びにも“格差”が生じることを、指導要領の弾力的な運用が追認することになる。

 文科省は秋に向け、授業時間のあり方を含めた指導要領の見直しを進めている。「発展」ではなく、本文ですべての子どもに保障する学力をどこまでとするか。教科書の採択を通して、もう一度問い直す必要がある。

  (社会部・高橋治子)

<メモ>発展的な学習内容

 学習指導要領の範囲を超える内容。教科書の本文と区別してコラムなどで扱い、すべての子どもが一律に学ぶ必要がないと明示するなどの条件がある。文部科学省は従来、指導要領の範囲を超える記述を認めなかったが、内容を削減した新指導要領が批判を受け「指導要領は最低基準」と方針変更。教科書に発展的内容の記述を可能にした。2002年度の検定対象だった高校教科書の選択科目で初めて登場。記述量は小中学校用で全体の1割程度、高校用は2割程度が目安となっている。」
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20050406/mng_____sei_____000.shtml