受精と占星学:空想

受精とは、勿論、男性(♂)の遺伝子と女性(♀)の遺伝子との結合であり、それは、連続的差異の連結であるとしよう。しかし、そこには、特異性、コギトが隠蔽されている。つまり、マイナス強度をもつ連結であり、プラス強度は隠蔽されている。図示しよう。


+強度   | −強度
      |
      |
コギトの  | 連続的差異→個体
被隠蔽   |
      |
      |

しかし、この場合、プラス強度が足りない。有性の遺伝子は、継続ないし連続的遺伝子で、マイナス強度の遺伝子である。これは、確かに、現象化するだろう。しかし、これだけでは、プラス強度が乏しいから、特異性、コギトが乏しく、個の力量に乏しいだろう。自我はあるが、特異な差異性は乏しい。しかるに、ここにプラス強度として、星辰遺伝子が参入するのではないだろうか。図示しよう。




プラス強度 |マイナス強度
      |
      |
      |
星辰遺伝子 |継続遺伝子 
      |
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      |
不連続的差異|連続的差異
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      |
特異性・  |自我
コギト   |

そして、出生した個体にとっての、真のコギト、特異性は、当然、プラス強度のものであり、これは、いわゆる親や家系の遺伝子ではなく、突然変異のように見えるはずである。才能とは、このようなものであると考えられる。天賦の才とは正にこれであろう。英語では、gifted(才能のある、与えられた)と言うが、これも同様だろう。
 ざっとであるが、これでいちおう、占星学的個体発生の説明をしたこととしよう。

p.s. 以上のように、人間発生を考えられるならば、ジェンダーセクシュアリティの乖離の説明ができるだろう。たとえば、肉体的には男性でも、精神的、ジェンダー的には、女性である人の場合は、継続・連続的遺伝は男性型であるが、星辰遺伝子は女性であると考えることができる。また、さらに、人間の成長において、初めは親に似ているが、だんだんその人の特徴が出てくるというのもこれで説明がつくのではないか。すなわち、初期は、継続・連続的遺伝子が強くはたらくが、その後、星辰遺伝子が発達する。これは、思うに、現象的個体はマイナス強度が先ず形成し、その後、プラス強度が作用するのではないかと考えられる。すなわち、マイナス強度は、連続的同一性を指向するのであるから、当然、現象的心身を早く形成すると考えられる。

p.p.s. オカルティストは、アストラル体(星気体)とかエーテル体(生命体、生命気体)とか言うが、拙論では、星辰遺伝子と継続遺伝子の二元論で済むのであり、また、星辰遺伝子も継続遺伝子もプラスとマイナスの違いはあるものの、構成要素が共通であり、オカルティストが区別するような「霊」と「肉体」の二元論はないのである。私は、オカルティストは、霊魂と肉体を分離して、前者が真実在とするオルフェウス教と似て、アナクロニズムだと思う。(プラトニズムは二元論ではない。)それは悪しき二元論だと思う。不連続的差異論から言えば、差異/強度=身体/精神であり、精神と身体は本来一如である。ポスト・オカルティズムである。

3p.s. ところで、新生児の身体の未熟性であるが、これはどう説明できるだろうか。これは、推測では、「観る」ことと関係する。あるいは、感覚知覚と。プラス強度の特異性・コギトは、現象界を観察するのである。しかし、身体が未熟なので、行動ではなくて、言語認識へと向かう。特異性・コギトによる現象界の認識を行うのである。では、身体の未熟性のシステムはどういうものなのだろうか。これも空想であるが、星辰遺伝子が、継続遺伝子に対して、抑制作用を起こすのではないか。プラス強度がマイナス強度を抑制するのではないか。(この説明は、p.s.の説明と矛盾することになってしまう。少しアクロバティックな説明になるが、星辰遺伝子は継続遺伝子を抑制するが、個体しての発達は、継続遺伝子の方が星辰遺伝子よりも優先すると考えられる。この点は、後で再考したい。)