差異相補通貨の可能性:試論1

[経済] 法定相補通貨の可能性:試論1


もし、政府、国家が、あるいは日銀が、有利子経済の円と無利子(またはマイナス利子)経済の「らせん」という通貨を発行したらどうだろうか。思考実験してみよう。銀行は、「らせん」をもっていても、有利子にはできないから、貸しても利潤はない。少なくとも、手数料はとるだろうが。そして、「らせん」を借りる企業や国民は利子がないから、事業や高額の消費がしやすくなるだろう。100万「らせん」を借りても、1年経っても、たとえば、無利子ならば、100万「らせん」のままである。元金の返済だけで済むわけである。また、5千万「らせん」を借りて、事業する場合、5千万「らせん」で諸費を支払うのである。そして、例えば、パンを製造する会社だとすると、パンの価格を、円と「らせん」で表示できる。たぶん、emoneyがあるだろうから、ecardで支払うだろう。円の場合と「らせん」の場合がある。しかし、円の収入は、「らせん」より高い所得税がかかるとしよう。すると、円よりも「らせん」方で商売するようになるだろう。もっとも、「らせん」は貯蓄しても無利子であるから、貯蓄は「成長」しないのである。また、海外への援助も、「らせん」にすると、無利子であるから、借りる国は利子の返済がないため、助かるのである。
 さて、有利子通貨「円」を使って、儲けたい人は儲ければいいだろう。一億円で、年間の純益として、3000万円稼いだとしよう。所得税は、累進課税で、5割である。しかし、「らせん」の場合は、3割の課税とする。
 以上はまったく単純な話であるが、このような相補的金融制にすると、金融機関が権力をもつことはなくなるだろう。すなわち、金儲けのために、事業をするのではなくて、創造性のために生産するようになるからである。
 後で、もっとよく検討したい。