いかに奈落から脱出するか:日本/日本人の盲点:経世済民

 日本が、アメリカ帝国主義/日本大資本層によって支配されているのは、常識のある人はわかっている。いちいち、名指す必要はないだろう。ここでは、日本人の盲点を追究したい。それがあるために、奈落に落ちていると思うのである。以下、思いつくままに私見を述べよう。
 経済をどう考えるかである。単なる金儲けとみるのは、根本的に間違いだと思う。経済は経世済民(世を治め,民の苦しみを救うこと)の略である、本来。だから、今日の経済は倒錯しているのだ。経済とは、自分を助け、また、他者を助け、共に生きることだと思う。つまり、英語で言えば、Live and let liveあるいは、convivialityである。自己保存的共存のための生活手段である。この点で、イスラーム経済は、本来的だと思う。欧米的個人主義は、利己主義、近代的自我主義と結んできたのである。いわば、悪魔的な「経済」に落ち込んでいるのである。ここで、基本から考え直さないといけない。自分が生き、また他者も生きる経済を新構築しないといけない。つまり、共存共栄の経済思想であり、その実現である。他者を活かすことで、自己も豊かになるのである。資本主義が行き詰まるのは、自分だけ豊かになって他者に貧困を与えて、大資本層中心に富み、共存共栄路線に進まないからである。つまり、資本主義はつねに行き詰まるのである。もっとも、「社会主義」よりはましではある。問題は、他者を活かすことが自己の繁栄、豊かさにつながる方法であることを、理論・実践的に認識することであろう。つまり、他者に資金・資本を還流することで、自己が発展するのである。おそらく、ここで、イスラーム経済が大きな意味をもつと思う。差異的共創生経済である。無利子通貨銀行等がここで大きな意味をもつだろう。地域通貨ではない。しょぼいものではない。経世済民的経済、差異共創生経済とは、共存的資本・貨幣をもつのである。それは、政治を変えないではいないだろう。差異共創生のフィロソフィーの政治である。

cf.
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経世済民論 けいせいさいみんろん

主として江戸中期以降に形成された〈治国平天下〉の論。今日でいう政治,経済,社会を論じ,生産増強,消費節約などを内容とする。封建社会の爛熟 (らんじゆく) 期・末期の現実を客観的・実証的に観察し,具体的・制度的な改革案をいろいろな思想的立場からうちだそうとした。太宰春台が《経済録》に〈凡 (およそ) 天下国家ヲ治ルヲ経済ト云。世ヲ経シテ民ヲ済 (すく) フト云義也〉と定義しているが,もっとも的確な表現である。江戸中期以降は,前期に比べ幕府権力の基盤や諸機構の動揺がはげしくなった。商品経済の発展によって自然経済のたてまえが大きくゆすぶられ,その結果,幕府・諸藩の財政難,武士や農民の困窮にひきかえて都市大商人が躍進し,農村地帯では飢饉,反抗などが拡大する。天保以降の状況はさらにきびしくなり,破局への転換点となる。そこで経世論の主眼は,内政上の危機の進行,武士と農民の経済的窮乏や破綻の根本的原因は何か,それをどうしたら解決できるかという点におかれた。それとともに,ロシアの南下を先ぶれとする西洋列強による〈外圧〉への評価と対応も,敏感な経世家には早くからみられた。

[先駆――蕃山,徂徠など]

 熊沢蕃山(1619‐91) と荻生徂徠(1666‐1728) は,それぞれの異質性はありながら,経世済民論の先駆者とみてよい。君臣関係はもとよりいっさいの人間の道徳的関係を〈自然の理〉として絶対化し,富への欲望を封建道徳ときびしく対立させた官製の朱子学に対し,蕃山は〈仁政ヲ天下ニ行ハン事ハ,富有ナラザレバ叶ハズ〉〈人君仁心アリトイヘ共,仁政ヲ不行バ徒善 (むだ) 也〉と述べ,富・人君のあり方を既成の規範から解放した。現実の解決策としては,兵農分離以前の状態への復帰である農兵制を主張した。徂徠は中国古典の帰納的研究によって〈聖人の道〉を求め,それを経世論の中軸として絶対化した。また武士に知行地を与え,土着させることが経済の行詰りの解決策だと説いた。奢 (おご) り,つまり庶民の需要の徹底的抑制が,限りある物資を不足なく用いるために必要だと考えた。徂徠までは米本位の価値観に立っていたが,その弟子太宰春台になると現実の金銀中心の流通や商業資本の力を無視できぬと知るようになる。土地の利用,特産物の奨励,藩専売制を唱え,積極的な興利策をとる。一方関西方面では,大坂町人の富強と発言権の高まりを背景として,たとえば懐徳堂に拠る学者たちのように商業資本の立場から従来の価値観を訂正していこうという動きが認められる。 中井竹山はその経済策において町人の利益の立場から運上金の廃止などを唱え,交通や社会福祉策のうえで先駆的な主張を行った。

[展開――青陵,利明,信淵]

 徂徠の実証主義や春台の商業藩営論などの延長に,より現実的で合理主義的な海保青陵(1755‐1817) の経世論がつづく。彼が生きた時代には,幕藩体制の行詰りが,いっそうあらわになった。青陵は商業経済の発展を〈理〉の当然,歴史の必然であると積極的に評価し,武士もつまるところ商人で,利潤追求こそ善であり,富国の基であると主張した。青陵の唱えたいわば藩単位の重商主義を,洋学の知識と持ちまえの数理的・合理的資質で前進させたのが本多利明(1744‐1821) である。それには外圧への危機意識も作用した。彼の商業・交易の重視は,藩や国内を超えて万国交易へと進み,鎖国体制の否定にまでいきついた。つづく佐藤信淵(1769‐1850) は平田神道の影響をとりいれ,天皇中心の絶対主義国家を志向する。彼の晩年には 1837 年 (天保 8) のモリソン号事件, 40 年のアヘン戦争があり,利明の描いた理想的・平和的な西洋像と異なって,情勢は血なまぐさいものとして映った。信淵の絶対王政的な国家論は,富国強兵を国是とし,強大な軍事力を背景として貿易の論理を強力に展開し,その《宇内混同秘策》の広域的侵略主義は,帆足万里の《東潜夫論》などにおいて,いっそう積極的に継承されていく。

[農政家の経世論

 以上の経世家たちは,おおむね為政者の側から現実を見つめて方策を〈献言〉する形をとった人々である。これに対し農村と農民の現実の中から対応策を学びとり,実践した一連の農政家,農学者の経世論がある。 二宮尊徳(1787‐1856) の荒村復興仕法=尊徳仕法のもとは,徂徠の考え方の流れをくむ〈人道作為〉の論である。彼は天道と人道を分離し,人道を作為の道とする。そしてそれは分度を守ることである。作為は天道実現に不可欠のもので,具体的には勤労であり,自愛即他愛の立場から自他ともに栄える道を説いた。ほぼ同時代の大蔵永常はリアルな農業技術者として,民に利を得させてはじめて為政者の利となることを主張し,尊徳の稲作中心の増強策に対し商品作物の栽培・加工を重視し,実践指導した。また大原幽学は 1838 年,日本における農業協同組合の先駆である先祖株組合を 4 ヵ村に結成させた。

塚谷 晃弘
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経世論

現実の社会問題を対象とした政治経済論。広義には、柳田国男(やなぎたくにお)の農政論など、明治以降の議論も含むが、一般的には江戸時代のものをさす。元来、経世論という呼称は、儒学上の用語「経世済民(けいせいさいみん)」(世を経(おさ)め、民を済(すく)ふ)に由来し、政治政策論全般をさすものであった。
 この経世論の本格的展開の契機となったのは、元禄(げんろく)〜享保(きようほう)期(1688〜1736)以降の社会情勢である。このころまでに、商品経済は全国的規模にまで発展し、商人階級の経済的実力が顕著となる一方、耕地の拡大は鈍化し始め、相対的に幕府・諸藩の財政や農民の生活はしだいに困窮化し、幕藩体制の基礎に影がさし始めたのである。経世論は、このような状況に対して、原則として支配者の立場からその原因を解明し、具体的対策を提示する議論として本格的発展を示した。なかでも、朱子学の唯心論・形式的普遍主義を脱却し、経世論における客観的現実分析の理論的基礎を用意したのは、熊沢蕃山(ばんざん)、荻生徂徠(おぎゆうそらい)などだといえよう。蕃山は、現実の状況「時処位(じしよい)」に即応した礼法の必要を論じ、社会分析の優れた視角を提示した。また徂徠は、理想の社会制度を自然的社会秩序思想から切り離し、その形成を政治的主体の「作為」に求めるとともに、制度文物の帰納的研究による経験主義的歴史認識への道を開き、経世論に新たな段階を画した。しかし蕃山や徂徠の場合、その具体的政策は、なお復古的なものであり、蕃山は兵農分離以前の農兵制を主張し、また徂徠は武士の知行地(ちぎようち)への土着を理想とした。
 この後、この種の復古的議論は幕末に至るまで根強く繰り返され、近世経世論の一特質となるが、一方において徂徠以後の経世論はしだいに商業資本の力を認識し、それに対する積極的対応を献策するようになっていった。徂徠の弟子太宰春台(だざいしゆんだい)をはじめ、林子平(しへい)、海保青陵(かいほせいりよう)は武士階級による商業利潤の把握の必要性を認識し商業藩営論を唱える。一方、大坂町人の経済力を背景とした中井竹山(ちくざん)、山片蟠桃(やまがたばんとう)などの懐徳堂(かいとくどう)に拠(よ)る学者たちは、特権的大商人の立場から商業経済の役割を評価する経世論を展開した。また工藤平助(へいすけ)や本多利明(としあき)などは、蘭学(らんがく)の知識をも吸収し、幕府による海外貿易や属島開発を急務と考え、鎖国体制の否定にもつながる主張を行った。さらに、佐藤信淵(のぶひろ)は、幕末の社会状勢のなかで、平田国学を哲学的基礎とし、また蘭学の知識も利用した経世論の体系化を試み、強力な中央集権国家により物産を開発・交易して富国強兵を計り、軍事的海外発展を進めるべきことを主張した。
 他方、このような理論家たちとは別に、近世後期には、農耕や農民指導の実務的経験を基礎とし農政論などを唱えた一群の実践家が輩出した。二宮尊徳(そんとく)は、徂徠学派の思想的系譜に属する「人道作為」の思想により、社会的に農業生産力を維持する合理的基準と勤労の意味を説いた。また大蔵永常(おおくらながつね)は、民富の形成を重視し、農学者の立場から商品作物の栽培を勧めた。また大原幽学(ゆうがく)は、農民の人格的自覚と農民協同に荒村の復興を賭(か)け、独自の農民指導を行った。これらの実践家も経世論の一翼を担う者であったといえよう。しかし、以上のような展開をみながらも、江戸時代の経世論は、非農耕階級の存在を全面的に否定した安藤昌益(しようえき)のごとき特例を除いて、全体としては、支配階級の統治論の枠を大きく出るものではなかったのもまた事実である。〈島崎隆夫〉

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経世済民のサイト
http://www003.upp.so-net.ne.jp/take-t/r-keisesaiminn01.html
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BIJIN-8/fsyohyo/r_keise.html
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/3816/ks.htm
http://www2.tba.t-com.ne.jp/dappan/fujiwara/sale/keiseisaimin.html
http://www.janjan.jp/government/0412/0412121555/1.php
http://www.developmentforum.org/uk/006.htm
http://www.f2.dion.ne.jp/~hiroseto/kenpoukeizai/1.html
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http://www.ch-sakura.jp/bbs_thread.php?ID=85252&GENRE=sougou
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http://homepage2.nifty.com/path/keizai.html
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h12/jog144.html
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569627145/250-3682286-9089029
http://i-debut.org/journal/j_disp.asp?code=745
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