『宝島』R.L.スティーブンソン作

『宝島』(1883年) ロバート・ルイス・スティーヴンソン作

場所:
ベンボー提督屋(宿屋):ブラック・ヒルの入り江にある

登場人物
「わたし」=ジム・ホーキンズ:主人公

リヴジー医師

「船長」:フリント船長:ビルと呼ばれる:頬に刃傷がある。アルコール中毒、船員衣類箱をもってきた

黒犬(ブラック・ドッグ):「船長」を探している

ピュー:盲人

トリローニさん:大地主

レッドルース爺さん:猟場番人

のっぽのジョン・シルヴァー:片足で、ホークのもとで働いて、片足を無くした。財産家。細君は黒人。


物語:
第1部:老海賊
第1章:「ベンボー提督屋」へ来た老水夫
「死人の箱にゃあ十五人―――
 よいこらさあ、それからラムが一罎と!」と古い船歌を老水夫が歌った。
第2章:黒犬(ブラック・ドッグ)現れて去る
第3章:黒丸(呼び出し状)
第4章:船員衣類箱:中には、油布でくるんだ書類のような包みと帆布の袋。敵方は、包みを探すため、ベンボー提督屋を荒らす。ジムたちを探す。
第5章:盲人の最後:税務監督官ダンス氏の馬でピューは殺される
第6章:船長の書類:大地主(トリローニさん)の屋敷へジムとダンス氏は行く:大地主とリヴジー医師の話:フリント船長はこの上なしの残忍な船長。ジムのもっていた包みを開ける。中には、一冊の帳簿(会計簿)と封をしてある
一枚の紙があった。一枚の紙には、ある島の地図があった。
《その島は長さ約九マイル、幅五マイルで、ふとった竜が立ち上がったといったような形をしていて、陸でかこまれた良港が二つあり、中央部には「遠眼鏡山」と記された丘があった。・・・赤インクで書いた十字記号が三つあって、――その二つは島の北部に、一つは南西部にあり、あとのほうの十字記号のそばには、おなじ赤インクで、・・・、「宝の大部分はここに」――と書いてあった。》
裏には、同じ筆跡で、詳しく書かれていた。
 大地主のトリローニさんとリヴジー医師とジムは、その島へ航海することを決心する。

第二部:船のコック
第7章:ブリストルへ行く:トリローニさんの手紙:ブリストルで、旧友のブランドリーの周旋で、スクーナ船(ヒスパニオーラ号)を見つけ、ジョン・シルヴァーを見つけ、そして、ジョンと二人で、屈強な老練な水夫の一団を見つけた。ブランドリーは航海長を見つけ、シルヴァーは副船長を見つけた。トリローニさんのロマン主義:「さあ、海へ! 宝なんぞどうだっていい! 小生を夢中にさせているのは海の輝きです。」(p.70)
 ジムは爺さんと、「ベンボー提督屋」に向かい、母に会う。そこを離れて、ブリストル駅馬車で行く。さまざな船などに感嘆しながら、ジムはトリローニさんに会う。明日出帆と言う。

第8章:「遠眼鏡屋」の店で
「わたし」ジムは、「左の脚がほとんど股のつけ根のところから切断されていて、左の脇の下に松葉杖をはさんでいた」のっぽのジョンを見た。松葉杖を「おどろくほど器用に使いこなし、それを当てて鳥みたいにぴょんぴょん飛びまわっていた。たいそう背が高くがんじょうな男で、顔はハムのように大きく、――醜男で青白いが、利口そうでにこにこしていた。」「わたし」は、トリローニさんの手紙を渡す。店には、黒犬(ブラック・ドッグ)がいたが、逃がしてしまう。
「わたし」とジョンは、旅館に着き、大地主さんとリヴジー医師に会う。

第9章:火薬と武器
副船長のアローさんと大地主さんはうまくいっているが、スモレット船長は、すべて不満に感じている人間である。彼の意見で、火薬の置き場を移動する。

第10章:航海
副船長のアローは、自堕落で、役立たずの人間であった。ある波の強い晩に彼は消えていた。肉焼き台と呼ばれているコックは、みんなに好かれていた。また、フリント船長と呼ばれた鸚鵡(おうむ)がいた。
 大地主さんとスモレット船長は、よそよそしい関係が続いた。ヒスパニオーラ号の船員たちには、飲み物や食べ物がふるまわれていた。中部甲板に、林檎(りんご)の樽が置かれていて、誰でも食べることができた。「わたし(ジム)」は、仕事の後、甲板で、声がしたので、林檎の樽へ入った。そこで、シルヴァーの声を聞いたのであった。

第11章:林檎樽のなかで聞いた話
シルヴァーは「肝心なのは稼ぐことじゃねえ、貯めることだ。・・・ばかにゃてえしてやくにたたねえとも、それにちげえねえさ、―――金だってなんだってな。」という。分限紳士(海賊)は、一航海で、何百ポンドの金が入るが、シルヴァーは、それを使わないで、そっくり貯めておくと言う。
 シルヴァーの企みは、大地主と医者に宝島の金を見つけさせて、帰りの航海で、かれらをやっつけることだった。シルヴァーはディックを仲間に入れた。舵手(コクスン)のイズレール・ハンズがいた。
 見張りの者が「陸だぞう!」と叫んだ。

第12章:戦争会議
「船からはるか南西に、二つの低い山が二マイルばかり離れて見え、そのなかの一つの背後に、もう一つもっと高い山がそびえていて、その山頂はまだ霧に包まれていた。三つとも、とがっていて円錐(えんすい)形をしていた。」
シルヴァーは島の前方の島は、髑髏(どくろ)島と呼ばれ、海賊たちにとって大事な基地と言った。彼らは、北の方の山を前檣(ぜんしょう:フォーマスト)山と呼んでいる。また、三つの山が南の方へ一列に並んでいて、前檣山、大檣(メインマスト)山、後檣(ミズンマスト)山である。雲のかかった大檣山を海賊は遠眼鏡山と呼んでいる。
 「わたし」ジムは、スモレット船長、大地主さん(トリローニ)とリヴジー先生に、シルヴァーの企みを話した。スモレット船長は好機を捉えて、謀反人たちにうってかかることを提案する。敵方の大人は19人に対して、こちらの大人は6人であった。

第3部:わたしの海岸の冒険
第13章:どうして海岸の冒険を始めたのか
宝島を前にして、船員たちは不平不満をもつようになり、険悪になっていった。船長は、そこで、シルヴァーに船員たちの不平を解消させる機会を与える為に、水夫たちに、午後の間、上陸を許可することを提案した。
 上陸組が編成された。6人、船に留まり、シルヴァーを含めて13人が乗り込み始めた。そのとき、突然、「わたし」は、向こう見ずな考えが浮かび、上陸するボートに乗り込んだのである。そして、ボートの舳(へさき)が岸辺の樹木の間に突っ込むと、「わたし」は一本の枝をつかんでぶら下がり、いちばん近くの茂みへおどりこんだ。シルヴァーの呼ぶ声を無視して、まっすぐにひた走りに走った。

第14章:第一撃
「わたし」は、シルヴァーの話し声を聞いた。そして、彼らの話を盗み聞きすることにした。シルヴァーがトムに話している間、叫び声がした。それは、死の絶叫であった。それは、アランであった。トムは、シルヴァーたちがアランを殺したと考えた。そして、背を向けて去っていったが、シルヴァーは自分の松葉杖を投げて、その杖の先がトムの背中に刺さり、彼は倒れた。そして、シルヴァーは馬乗りになり、ナイフを二度突き刺した。
 「わたし」は、すぐ逃げることにした。恐怖で、狂気じみた疾走であった。そして、いつの間にか、あの二つの峰のある小山の麓に近づいて、森にやってきた。

第15章:島の男
「わたし」は、森の中で、怪物のように思えた男ベン・ガンに遭遇した。彼は、フリントが宝を埋めたときに、フリントの船にいたと言った。フリントは、六人の部下と宝を埋めたが、彼らを殺害した。当時、ビリー・ボーンズは副船長であり、のっぽのジョンは操舵手だった。
 ベン・ガンは、3年前、別の船に乗っていて、宝島にやってきたが、一人置き去りにされたことを述べた。
 突然、雷のような砲声が聞こえた。戦いが始まったのである。やがて、「わたし」は、英国国旗(ユニオンジャック)が森の上空に翻っているのを見た。

第4部:防禦柵
第16章:医者がつづけた物語 どうして船を捨てたか
【語り手が、ここで、ジム・ホーキンズから医者のリヴジーに変わる】
ハンターと「わたし」(イヴジー医師)は、小型端艇(ジョリボート)に乗って、上陸することにした。防禦柵のところへ行き、一つの丸い丘のほとんど頂上のところから清水が湧いていた。その泉を囲んで、堅牢な丸太小屋がつくってあった。「わたし」が気に入ったのは、泉であった。ヒスパニオーラ号の唯一の不備は、水であった。そのとき、人間の断末魔(だんまつま)の悲鳴が聞こえた。「わたし」は、ジムが殺されたと思った。二人は、スクーナー船に戻った。そして、「わたし」は、計画を船長に話した。小型端艇に武器や食料を積んだ。船に残っていたシルヴァーの手下の六人を、おとなしくさせた。荷物を丸太小屋にもっていき、「わたし」はヒスパニオーラ号に戻った。水夫のエーブラム・グレーを仲間に入れて、島に向かった。

第17章:医者がつづけた物語 小型端艇(ジョリボート)の最後の航行
不運にも、潮が引き潮になった。スクーナー船には大砲があり、その砲声があった。ボートには当たらなかったが、あおり風のせいか、ボートは沈んでいった。そして、「わたし」たちは、荷物は沈んでしまったが、無事に岸まで歩くことができた。

第18章:医者がつづけた物語 第1日目の戦闘の終り
戦いがあり、老人のレッドルースが撃たれて、亡くなる。船長が航海日誌を書いていた。そのとき、呼び声がした。ジム・ホーキンズの声であった。

第19章:ジム・ホーキンズがふたたび始めた物語 防禦柵内の守備隊
ジムはベン・ガンから離れて、防禦柵の裏手に行って、味方に歓迎された。休戦旗があがり、シルヴァーが自分でやってきた。

第20章:シルヴァーの使命
シルヴァーは、宝の海図や自分の仲間を殺さないことを条件に、ここから無事に連れ出すことを言うが、スモレット船長はそれを拒否する。

第21章:攻撃
物別れに終わった後、攻撃が始まった。敵と味方の人数の割合は、結果、9対4になった。(その後、8対4になった。)

第5部 わたしの海の冒険
第22章:どうして海の冒険を始めたか
「わたし」(ジム)は、「停泊所の東側を外海から分けている例の出洲(です)を下っていって、昨夕見かけたあの白い岩を見つけだして、ベン・ガンがボートを隠しておいたのがそこかどうかをつきとめようという」計画をたてた。そして、実行した。ベン・ガンのボート(革舟)を発見した。
 次に、夜陰に乗じて、ヒスパニオーラ号の錨綱を切って、漂流させ、船を座礁させようと考えた。

第23章:退潮(ひきしお)が流れる
錨綱が緩んだので、「わたし」は、綱を切った。船尾から垂れている一本の軽い綱をつかんで、船中を覗いた。船が20度も曲がったとき、船中から叫び声が聞こえた。「わたし」は革舟の底に寝そべり、眠ってしまった。

第24章:革舟の巡航
「わたし」が眼がさめたときは、もうすっかり夜が明けていた。宝島の南西端にあった。ホールボール岬の北の森の岬で上陸しようとした。そして、ヒスパニオーラ号を見つけた。「わたし」は、近づいて、革舟を蹴って、第二斜檣につかまった。それから、ヒスパニオーラ号が、革舟をたたきこわした。

第25章:海賊旗を引きおろす
赤帽の男が死んで横たわっていた。そして、イズレール・ハンズが青白い顔していた。「わたしは新しい司令官としての自分の地位に得意然」としていた。

第26章:イズレール・ハンズ
「わたし」とハンズの闘い。ヒスパニオーラ号は乗り上げて、甲板は45度傾いた。「わたし」は、肩のところをマストに突き刺された、そして、もっていたピストル二挺とも発射した。舵手は、海中に落ちた。

第27章:「八銀貨」
「わたし」は海から上がり、防禦柵へ帰った。しかし、「わたし」は捉えられた。シルヴァーたちが、占領していたのである

第6部:シルヴァー船長
第28章:敵の宿営で
「わたし」は、自分がこれまで、盗み聞きして、シルヴァーたちの裏をかいたことをしゃべった。シルヴァーの仲間は、「わたし」をやっつけようとするが、シルヴァーは、「わたし」をかばって、制する。「・・・わしはこの子(ジム)が好きなんだ。こんあええ子は見たことがねえ。・・・」
 水夫たちは、会議する為に、外へ出た。シルヴァーと「わたし」が残された。「おめえ(ジム)はもうすこしで殺されるかもしれねえところだ。・・・やつらはわし(シルヴァー)を排斥(へえせき)しようとしてるからな。だがな、ええか、わしはどんなことがあっても、おめえに味方してやる。・・・わしにゃあ、あめえが頼りになる男だってことがわかったんだ。わしは自分にこういったのさ。ジョン、おめえはホーキンズに味方しろ。そうすりゃあホーキンズはおめえに味方してくれるぞ。おめえはあの子の切り札だし、それから、ジョン、あの子はおめえの切り札だってこたあまちげえないしだぞ! もちつもたれつなんだよ。おめえが自分の証人を救えば、あの子はおめえの首を救ってくれるだろうよ!ってな」
そして、シルヴァーは医者が自分に海図をくれたことを話した。

第29章:ふたたび黒丸
海賊たちの会議があり、黒丸(呼び出し状)をシルヴァーに渡した。それに、シルヴァーは反論し、また、海図を彼らに見せた。そして、彼らを懐柔(かいじゅう)した(彼らを再び、自分の味方にした)。

第30章:仮釈放
医者のリヴジーが丸太小屋にやってきた。そして、治療した。そして、シルヴァーは、リヴジーと「わたし」との話をさせる。

第31章:宝さがし―――フリントの方針
宝探しの探索で、人間の骸骨が見つかる。死体はまっすぐ島の方向をさしていた。

第32章:宝探し―――木の間の声―――
前面の木立ちの真ん中から、声が聞こえた。
「死人の箱にゃ十五人―――
  よいこらさあ、それからラムが一罎(びん)と!」
海賊どもは、これが、フリントの幽霊の声だと思った。しかし、シルヴァーが不安を取り去る。
彼らは、黄金の場所に近づいた。
しかし、「わたし」たちの前には、大きな掘った穴があった。意味は明白であった。宝物の70万ポンドは奪われ、なくなっていたのだ。

第33章:首領の没落
穴をはさんで、海賊たちと「わたし」とシルヴァーが立っていた。そこへ、銃声があり、メリーは撃たれた。シルヴァーが止めの銃を撃つ。そこへ、リヴジー先生、グレーとベン・ガンがやってきた。そして、先生は、ベン・ガンの宝隠しの話をする。島に置き去りのされたベン・ガンは、宝を島の北東隅の二つ峰の山にある洞穴に運んでいたのであった。
「先生は、あの攻撃のあった日の午後に、この秘密をベン・ガンから聞きだし、また、その翌朝、停泊所に船がいなくなったのを見ると、シルヴァーのところへ出かけていって、いまではもう不要となった例の海図を彼にやり、・・・、防禦柵から二つ峰の山まで安全に移る機会を手に入れるため、なにもかも渡してしまった。」
「わたし」たちは、快艇(ギッグ)のところに着き、そして、北浦をさして海路でまわってゆこうとした。ヒスパニオーラ号に出会った。「わたし」たちは、ベン・ガンの宝蔵に近いラム入江に漕いでいった。
 洞穴に入り、大きな山のような硬貨と、四辺形に積み上げられた金の延べ棒があった。
 その夜、たのしい晩餐が行われた。

第34章:それから結末
黄金を船に積む作業が何日か続けられた。そして、船は出帆した。ヒスパニオーラ号は、ある湾内に投錨した。そのとき、シルヴァーが硬貨の袋をとって逃げた。その後、彼らはブリストルに到着した。そして、黄金を、分け合った。